リウマチの主な症状
- 朝起きた時に、「身体がだるい」、「手が腫れぼったい」、「手が完全に握れない」などのこわばり症状がある。
- 風邪などを引いていないのに、微熱がある。
- 手、足、肩、肘、膝などに腫れや痛みが、数週間から数ヶ月持続する。
- 複数の関節に、腫れ・発赤・熱感・痛みを認める。
- 左右対称性に症状が出現しやすい。
関節リウマチ(以下、リウマチ)は、原因不明の免疫異常により主に手、足の関節の中にある滑膜に炎症が起こり、関節のこわばり、痛みと腫れを主症状とする病気です。
滑膜の炎症が続くと次第に関節の軟骨や骨の破壊が起こり、関節の変形が進み、各関節の機能障害を引き起こします。また、血管、心臓、肺、皮膚、神経等の全身組織にも障害が起こることがあります。
また、リウマチ性多発筋痛症や反応性関節炎などのリウマチ類縁疾患、加齢に伴う変形性関節症や脊椎関節症などを鑑別疾患として考慮する必要があります。
日本でも広く用いられておりましたアメリカリウマチ学会の診断基準が23年ぶり(2010年10月)に改定され、アメリカリウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)共通の診断基準となっています。
この改定により以前の基準と大きく変わった点は、レントゲンの画像所見が消えたこと、対称性の関節炎が消えたことです。即ち、レントゲンで分かるほどの骨の破壊が来るのを待つのではなく、一つの関節の関節炎であっても診断可能になったということです。
世界的にリウマチの標準治療薬となったメトトレキサート(MTX)の投与や、生物学的製剤の投与により疾患活動性を抑え寛解状態に導くことが可能となった昨今、関節破壊が起こる前の、なるべく早期に専門的な治療を受けることが重要です。
尚、関節リウマチの新診断基準は以下のようになっています。
0点 | 1ヶ所の中~大関節 |
1点 | 2~10ヶ所の中~大関節 |
2点 | 1~3ヶ所の小関節 |
3点 | 4~10ヶ所の小関節 |
4点 | 10ヶ所より多い関節(少なくとも1つは小関節) |
0点 | 抗CCP抗体およびRF陰性 |
1点 | 抗CCP抗体およびRF低値陽性 |
2点 | 抗CCP抗体およびRF高値陽性 |
0点 | 6週間未満 |
1点 | 6週間以上 |
0点 | CRPおよびESR正常 |
1点 | CRPおよびESR異常 |
リウマチの症状は千差万別です。炎症の強さや関節破壊の進行度により、一人一人に見合った治療方法を選択し、患者さんに分かりやすく説明するよう心がけます。
上記治療薬を、リウマチの病態に応じて使い分けまた組み合わせることにより、リウマチを寛解状態に導き、関節破壊を防止します。
治療方法は、「ステップアップ方式:作用の弱い薬から、徐々に強い薬へ変更する治療法」と、「ステップダウン方式:最初から強い薬を使い、改善に伴って薬を減量、あるいは効果の弱い薬にかえていく治療法」の2つに大別されます。リウマチによる関節破壊は、発症6ヶ月で現れ、最も進行が速い時期は発症2年以内です。そのため、リウマチ発症後できるだけ速やかに炎症を抑えることが治療のポイントとなります。発症早期から強力な薬を使い、必要ならば複数の薬を併用することにより関節破壊を防止することが、最近のリウマチ治療の主流となっています。
軟骨や骨の破壊が進行し、関節に障害や変形を起こしてしまった場合は、人工関節置換術(膝・肘・股関節)や、関節形成術(手首・足指)、関節固定術(手首・足首)などの手術が必要となる場合があります。手術が必要と判断される場合には、信頼のおける医療機関へ適切にご紹介致します。
早期診断・早期治療の重要性早期のリウマチは症状が軽く、診断が難しい場合があります。関節の痛みや腫れは、年齢とともに起こる変形性関節症や変形性背椎症に多く見られますが、リウマチが隠れていることもあります。当院では、患者さん一人一人の訴えに耳を傾け、肉眼では分からないような関節の軽微な腫れにも注意を払い、リウマチの早期診断に努めていきます。
リウマチは、早期に発見することにより、内服薬や注射薬を使用する治療で症状をほぼ抑えられ、関節の変形を防ぐことが可能です。
生物学的製剤のような画期的な新薬の開発に伴い、「寛解を目標に、そして寛解を持続させる」時代に突入しました。
リウマチは、的確な早期診断と適切な早期治療が非常に重要です。
少しでも気になる症状がございましたら、なるべく早くご相談下さい。